2014.7.12 村岸               ■JTA 練習会資料 スタート前の準備編 T.スタートまでの時間の使い方: 1.出艇した艇は寄り道することなく、レース海面、本部船の位置い向かう。   スタートまでの時間を有効に使うために、なるべく最短距離でその位置に行けるように帆走する。   その日の第一レーススタートまでは出艇してから、45〜60分くらいしかなく有効に使う必要がある。   1日で一番忙しい時間を過ごす。 2.本部船の位置にくると、上マークの位置まで走り、その間の風のシフトチェックを行う。   合わせて艇速のチェック、セッティングのチェックを行う。この時注意することは、   右と左の両サイドの風をチェックすることである。上マークまで2回クローズを走る。   時間がギリギリになるため、手際良く行う必要がある。 3.この2回のクローズの間に、シフトのチェック、右サイド、左サイドの風の入り方の違い、   波の状況をチェックする。特にシフトについてはコンパスを使って正確に振れ幅を特定する。   また、レース海面の近くに間違い易い別のレースのマークが無いか、   ある場合は位置の確認を行う。景色の確認も重要である。   2回目のダウンウィンドの頃には下マークが打ってあるので、帰り際にマークを使って潮のチェックを行う。   (スタートラインに対して本部船が傾いている場合、潮の影響がある合図である) 4.艇速のチェックについては、ジブの引き込み具合、波による艇の叩かれ方、艇の揺れ具合などで   判断する。強風時はジブリーダーのポイント、ジブセールのクリューポイントを   いくつか変化させ試しておく。   5.出艇してから風が安定しており、シフトも一定である場合は、2回のクローズで得た情報を   スタートプランに活用できる。しかし、朝の風は不安定であることが多く、2回以上走っても   特徴がつかめない場合は、無理に風向を決めつけても仕方ない。   ペアーで柔軟に考え、スタートプランを立てるべきである。 6.風のチェックで行うことは風軸の確認である(シフト幅の確認)。   左は何度まで、右は何度まで、風軸は何度なのか。   ブローが右から入ってくることが多い、どちらにも同じように振れている、   ほとんど振れていないなど、ペアーで話しながらシフトのチェックを行う。   実質30分くらいの間でこれを判断する。短時間で判断することは難しいが、一応結論を出す。   一日中風は吹いているが、結果的に第一レースまでの風のチェックの時間は非常に短く、   かつ風が安定していないこともある。チームは一番難しい判断を迫られることとなる。   風速の変化は風向変化の合図であり、クルーの乗艇位置が変わると風向のチェックが必要である。 7.スタートの10分前を目処に本部船に戻ってくる(あくまで目安の時間)。   本部船からアウターマークの見通しチェック、   スタートラインの角度、上マークの角度、サイドマークの確認を行う。   スタートラインを流し、スタートの有利サイド、スターラインの風の状況を確認する。 8.スタートラインの長さ、端から端まで帆走でどれくらいの時間がかかるかの把握をする。   風が弱い時はスタートラインから離れず早めにポジションを決める。   風がある時は、スタート直前にスタートポジションを変更した際にどれくらいの時間で   移動できるかを考えるために移動にかかる時間を把握しておく。 9.予告信号が上がるまでには、スタートポジション、上マークまでのコース選択の方針をチーム内で決定する。   ペアーで良く状況を共有しておくことが大事である。 U.スタートのポジション決め  スタートポジションを決定するにあたっての重要な要素は下記である。 1.スタートの有利サイドはどちらか。風に対して、スタートラインがどちらに傾いているかである。   スタートラインを流しながら、時折クローズで走り、角度をチェックする。    潮の影響があるかどうかも確認しておきたい(風が弱い場合は影響大)。 2.風に対するコースの傾き。スターボロングかポートロングか。   一時的なシフトで傾いて見えるのか、そもそもマークが正確に打たれているかどうかのチェックが必要である。   スターボードタックで走るだけでなく、ポートタックでも走りコースの傾きを把握しておく。 3.それから風のシフト。どれくらいの周期で風が何度の幅で変化するか。   予告信号が上がってからスタートまでの5分間に当然風は振れるため、スタート時の風が   どちら有利のスタートラインを作るのかを考える必要がある。   振れ幅が大きく、振れる速度が速い場合は、   スタート直前までポジションを決めることが難しく、柔軟な対応が必要である。   (直前までポジションを決めれないケース)   スタート後の最初の振れを、他の艇よりも少しでも早くつかみたい感じ。 4.スタート直後にタックをしたいかどうかをペアーで確認しておく。   下有利のため、下からスタートするが、ポートロングのコースであるため、すぐにタックしたいケースなど。 上記を踏まえ、スタート後どのようなプランで上マークを目指すか決めておく。 5.私のチームの場合、3分前にはスタートのポジションを固め、1分30秒前にはスタートポジションへの   アプローチを開始している場合が多い。 V.具体的ケースについて 1.上有利のスタートラインで、コースはスターボロングになっている。   海風(シーブリーズ)で、振れ幅は小さい(せいぜい5〜10度)。   どこからスタートするのが良いか。 2.下有利のスタートラインで両サイドにシフトする風(振れ幅30度)で、コースはポートロングのコース。   どこからスタートするのが良いか。スタート時のポイントは何か。 3.スタートラインの真ん中から出ることを選択するのはどんな時か。                                                   以上