ワールドマスターズゲームズ2021関西 プレレガッタ / テーザークラス アーリーサマーレガッタに参加された葉山フリート 小村 克斗(こむら かつと)さんからレポートをいただきました。

WMG2021関西 プレレガッタ / テーザークラス アーリーサマーレガッタ 総合成績

 

日本テーザー協会の皆様はじめまして!

今回のレポートを担当します、小村 克斗(こむら かつと)と申します。昨年末にデラマンチャヨットクラブの山本さんより2396艇をお譲りいただき、テーザー級の活動を開始しました。以後どうぞよろしくお願いいたします。

 

初のレース参戦ということで、5/22(土)〜23(日)に和歌山セーリングセンターにおいて開催されたアーリーサマーレガッタに参加いたしました。今回は新型コロナウイルス感染症感染拡大予防が求められる時勢でありましたが、和歌山県セーリング連盟および日本テーザー協会の皆様のご尽力により、安心して競技に集中して取り組むことができました。この場を借りて御礼申し上げます。

詳細なレースレポートは今回ご一緒させていただいたデラマンチャヨットクラブ・米本さんからいただけるかと存じますので、テーザー初心者として各日の簡単な状況と気づいたこと、そしてテーザー級フリートについて感じたことを記述します。

◯一日目

前日の大荒れ模様から打って変わり、無〜微風コンディションでした。開会式後、出艇するも風は落ちていき早期に一時帰着判断が行われ、しばし陸上待機となりました。その後再び風が入ってくる兆しが見られたため再出艇し、第1レース(結果ノーレース)の予告が発せられました。下側有利のため多くの艇がそちらに集まり、混雑するスタートのなか実力のある艇が前に出ていました。しかし、風が落ちるにつれて大きく右へ片振れしたため、上側からスタートし、右海面展開した艇が大きく伸びる状況になったところでレース委員会よりN旗ついでAP/ Aが掲揚されこの日のレースは中止されました。

◯二日目

予報では一日目よりも風が落ちる予報でしたが、軽風下で4レース(カットレース有)が無事実施されました。今回のレースのキーワードは細かいシフトと強い潮流にあったと筆者は感じています。上位に陣取ることができた艇はスタートでフレッシュウインドを掴む前提で、その後的確なタックポイントで着実にゲインを確定させている印象でした。特に優勝の伊藤/村岸艇は先行で得たゲインを早期に確定させ、艇団をコントロールあるいはカバーする動きが見事であったと思います。また、そのなかで該艇は和歌山セーリングセンターの特徴的な地形からくる潮流の変化にいち早く気づきうまいコース取りをしていました。本要因の解析のために、和歌山県セーリング連盟様ご提供のGPSデータ(TracTrac, https://www.tractrac.com/club-page/57/Wakayama%20Sailing%20Club)の各レースデータを用いて検証作業を実施しました。そこで気づかされたことは海面の右奥に展開し1マークに対しスターボアプローチした艇は強い下げ潮によって押し下げられており+2回以上のタックを強いられていることです。この日のレース時間においては転流が起こらなかったため(10:01干潮/16:09満潮)、強弱はありましたが、その傾向に変化はありませんでした。また、Google Earthを利用することで今回の特殊なコース設定に気づかされました(図1)。レース海面は遠浅の浜の宮ビーチに近く、ちょうどレース海面の右半分は水深の浅く(3m)、潮流が速いところに位置していました。一方で左海面、特に1マーク-2マーク付近は水深が深く(10m)、潮流が遅くなる傾向にありました。結果として左展開した艇は下げ潮の影響が小さく、上レグを有利に運ぶことになったと考えられます。また、上-サイドのリーチング潮の影響が強いため、ラムラインよりも上り目で艇速をつけている艇がゲインを得ていた現象もこれによるものと思われます。一方で、サイド-下のレグについては潮流の影響を満足に得られないため、上り合いの結果、単純に距離をロスすることにより、プロパーを走った艇に先行される場面が1・3レース中に見受けられました。恥ずかしながら筆者は本現象を海上で気づくことができず、レース後の伊藤/村岸艇の情報を又聞きし、愕然として今に至るという訳であります。

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図1. スクリーンショットGoogle Earth(上)/TracTrac

◯総括

テーザー級のレースに初めて参加して感じたことは本クラスのフリートとしてのレベルの高さです。本クラスを初めたばかりの私に対し皆様が知りうる情報をあますことなく開示してくださるその風土により、誰でも簡単にすぐに溶け込める開かれたクラスであると非常に強く感じました。また、今回参加できたのも、デラマンチャヨットクラブの皆様のご好意があってこそです。艇を入手したばかりの私に優しくお声がけいただいただけでなく、遠征のいろはをご教授いただいたお陰で不安なく存分にレースを楽しむことができました。さらに、レースに参加した選手の皆様も非常に温かく、海上・陸上問わず気軽に話かけていただき、紳士・淑女のクラスであると強く感じました。今回のイベントでヨット競技の面白さ・課題の再発見もあり、今後がより楽しみです。これから活動を続けて様々なレガッタに参加し、皆様と楽しいひと時を過ごせれば幸甚でございます。今後ともよろしくお願いいたします。

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