このコーナーでは安全で快適にテーザーセーリングを楽しむためのヒントを紹介しています。皆さんのスキルアップに役立てば幸いです。テーザーセーラーのこれまでの経験に基づくノウハウなどを紹介しているもので、こうでなければならないということではありません。もっと良い方法があるよというご意見、自艇にこのようなトラブルがあったので皆さんにお知らせしたいといった情報提供や各テーマに関する質問も歓迎ですので skillup [at] tasarjapan.org までどうぞ(at を@に変えてください)。皆さんのご意見やご質問をいただきながら、セーラーの役に立つ情報を充実していきたいと思っています。
また、艇の整備・点検や装備に関する詳細な情報は "Fanfare for the common man" において紹介されていますのでご活用ください。

 

【安全対策編】

1. バウライン
バウラインをあらかじめ艇に装備していることは緊急時の曳航などの際に非常に有効です。テーザーのクラスルールでは、バウラインの搭載は義務ではありませんが、テーザー協会では安全対策の一環として、バウラインの装備を推奨しています。ここでは、バウラインの取り付け方等の例を紹介します。

①径、長さ等
テーザーではバウラインの規定はありませんので、ラインの径や長さは乗り手の判断となります。この説明で用いたテーザーでは、φ6mm、長さ10mのものを使用しています。他のツーマンディンギーのクラス規則では、φ8mm・10m以上(470級)、φ8mm、8m以上(420級)、φ8mm、15m以上(スナイプ)と規定されています。参考として420級の例を示しますが、転覆時のレスキューを想定した内容となっています。

(例:420級)
「艇には、長さ8m以上で直径8mm以上の 浮く曳航ロープがマストにしっかり取り付けられ、レスキュー艇から艇首で(艇が転覆していても)掴むことができるものであること。」
  
②固定方法
ハードリグの艇ではマストに固定する場合が多いようですが、テーザーの場合にはマストが倒れた場合を想定し、クルー用ハイキングストラップのアイに取りつけると良いでしょう。

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ハイキングストラップのアイに結ぶ

③取り付け方法
一方の端をハイキングストラップのアイに固定し、バウアイを通して折り返し、残りのラインをまとめ、コクピット内に収納します。ラインを通す際には、バングシートやジブシートの下側を必ず通すようにします。
写真の例では、残りのラインは細いショックコードで束ねていますが、ラインを引っ張ると勝手に外れます。結び目を解いたり、テープを外したりの手間が省けます。コクピットへの固定は、粘着力がそれほど強くない、養生テープを使用しています。

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ショックコードのリングで束ねる

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バウアイを通して折り返して残りのラインはコクピットに収納

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残りのラインは養生テープで固定

2.ランニングでの着艇
後ろ方向から風を受けるときの着艇はどのようにしていますか。できるだけ斜め方向に艇を向け、風を逃がしながらアプローチし、着地地点手前でクイックに上を向ける方法でしょうか。予想以上にセールがはらみ、スピードが出過ぎたり、ターンが早いと着地ができず、遅いとフォイルを傷めたりとリスクが大きいですね。
2015年7月の海陽セーリングカップ2日目の着艇時にひやりとする場面がありました。海陽YHのスロープは、南向きと西向きがあり、南風の場合、南向きスロープへのアプローチはランニング、西向きのスロープはアビームの状態となります。南風の場合には西向きのスロープに着けられると良いですが、混雑時にはそうはいかない場合もあります。
このような場合、港内でメインセールを降ろし、ジブセールだけの状態で着艇する方法は安全で確実です。ただし、テーザーのメインセールのストッパーはマストトップ付近にあるため、オンデッキでストッパーを外し、セールを降ろすのにはコツがいります。

① ストッパーの外し方
ストッパーはポートタック側に付いていますので、ポートタックの状態で作業します。ハリヤードにロープを着け、そのままセールを降ろせる状態にして、スキッパーに渡します。クルーはローテーションレバーを押しこんで、ストッパーの付いた側のマストの面をスキッパーの方に向けるようにします。スキッパーの位置からハリヤードを持ち上げると簡単に外れます。

② セールの回収
ストッパーが外れたら、クルーはボルトロープをひっぱりセールを降ろし始めます。スキッパーはメインセールを少し引きこみ、上に向け、ブームが艇内に納まるようにします。センターアップの邪魔にならないよう、セールはスターボ側のコクピットに納めます。セールが全部降りたら、メインシートの端でセールとブームをぐるっと一巻きしてセールがはらまないようにします。
  
海上でメインセールを降ろすことで、風が強い時でも余裕をもって着艇することができ、不測のトラブルを防ぐことができます。

 

【トラブル事例】

1. サイドステーのトラブル
写真は海上でマストが転倒した艇のサイドステーです。ステーが切断したのではなく、スウェージング・パイプからステーが抜けたためにマストが倒れたものです。ステー等を自作する場合には、ステーをパイプ全体に入れ、スウェージングは確実に行うようにしましょう。
サイドステーの加工等に関する説明は以下のページをご参照ください。
Sidestay サイドステイ

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【フィッティング編】

1.メインセールのアップ&ダウン
メインセールの上げ下げに苦労されている艇はありませんか? ハリヤードがかたい、セールがトップまであがらないなど。改善のヒントを紹介します。

① ハリヤードをワイヤーからダイニーマコアなどのシートに交換
ハリヤードをシートにすることでマストトップのシーブやトップマストEXIT部での抵抗が減り、上げ下げが楽になります。ストッパーの交換は不要で、エイトノットで結び目を作り、そこで固定するようにします。結び目の周辺が傷んできたら、その箇所でカットし、シャックルを取り付けし直し、新しい場所に結び目を作ります。ハリヤードを最初に作成する際に1m程度余裕があると、このカットしての作り直しが数回できます。
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セールはシャックルで固定。結び目がストッパーとなります。


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セールをあげた状態です。

② マストトップのシーブブロックをチェック
これまでに強いテンションがかかり、シーブが回らなくなっている場合があります。この場合にはブロックを交換します。

TasarSailingTips vol01 08マスト・ピークのシーブブロック(シーブは回りますか?)

③ マストのグルーブにシリコンを塗る
グルーブとセールのボルトロープの抵抗を減らすため、グルーブにシリコン系のスプレーを塗布します。セールの滑りがかなり改善します。
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グルーブにシリコンスプレーを塗布

メインハリヤードも含む、トップマストに関する説明は以下のページを参照ください。
Top Mast トップマスト

 

(ルール編は「JTA通信」に掲載しています)